第一回

Music For People Project

日本で暮らす

フィリピンに

ルーツを持つ

若者達の物語を

音楽で届ける

日本に住むフィリピンに

ルーツを持つ若者たち

1980年代、多くのフィリピン人女性がエンターテイナーとして日本に上陸しました。そして、その多くが日本人男性と関係を持つようになりました。さらに、エンターテイナーとしてではなく、仕事や勉強など他の理由で来日するフィリピン人も多くなってきました。2021年には、日本にフィリピン人のルーツを持つ若者を見かけることは珍しくなくなりました。しかし、彼らのストーリーはあまり知られておりません。Music For People Projectは、フィリピンからの移民、混血、両親がフィリピン出身の日本人など、日本に住むフィリピンにルーツを持つ若者たちの個々のストーリーを届けるためにミュージックビデオを制作しました。

なぜ日本に住む

フィリピンに

ルーツを持つ

若者達なのか?

その理由は主に2つあり、私の生い立ちと、その人たちに関する研究の不足です。

まず、個人的な背景についてです。私は、日本に住むフィリピン人のルーツを持つ若者でもあります。私の母はフィリピン人です。私はこれまで、社会、文化、経済など、様々な背景からくるアイデンティティや家族に関わる、問題に直面してきました。しかし、すべては多くの人に話せることではありません。なので、自分だけがこれらの問題に苦しんでいるように感じていました。でも、成長するにつれて、自分と似た境遇の人たちと出会い、自分だけではないんだと実感しました。その時はホッとしました。しかし、未だに同じような状況で悩んでいる人がいることを認識できていない人もいます。なので、こういった物語を音楽で届けて、より多くの人に体験してもらい、出会ってもらいたいと思うのです。

もう一つの理由は、その人たちの物語の研究が少ないことです。在日フィリピン人移民、特にフィリピン人女性に関する学術的な研究は、例えば静岡大学の研究者である高畑幸さんや、「フィリピンパブ嬢の社会学」の著者である、中島弘象さんなどによって取り上げられていました。しかし、彼らはフィリピン人移民ほどには、子どもの生活までには焦点が当てられていませんでした。そういう人たちを研究対象として取り組んだ人がいらっしゃいます。しかし、それはあくまでも「ハーフ」研究の一環であり、フィリピンにルーツを持つ人々に焦点を当てたものではないことがほとんどです。その場合、フィリピンにルーツを持つという文脈における、彼らの生活における社会文化的影響を見逃してしまうかもしれません。

さらに、法務省によると、フィリピン国籍の若者は増加しているにもかかわらず、「ハーフ」や日本在住の移民を含むフィリピン国籍の若者は、「ハーフ」よりも研究されておりません。2013年に21,865人だった青年は、2019年には29,361人に増加したました。しかし、フィリピン人移民に関する研究は、ほとんどが大人のフィリピン人移民に関するもので、若者に関するものではありません。だからこそ、日本在住のフィリピンにルーツを持つ若者に焦点を当て、そのストーリーを他の人に届けたいのです。 

インタビュー

Music For People Projectの一環として、私は当事者にインタビューを行い、それぞれ5人のストーリーを元にした音楽作品を制作しました。インタビューでは、事前にリストアップしておいた質問をしました。必要であれば、インタビューの中で、あるいはインタビュー後にフォローアップの質問を行いました。1回のインタビューは約2時間。そして、そのインタビューの内容を確認した後、自分の口から出る音だけで、そのストーリーを伝える音楽を作り始めました。

Music Works

1.Run from the lie

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この曲は、現在に日本に住んでいるフィリピン人女性の方が、フィリピンでの幼少期の物語がベースになっています。過保護な両親から解放されたいという気持ちと、他に家族がいることを隠していた父親の嘘を知ってしまった悲しみを表現した曲です。

2.Myself

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この音楽は、フィリピン出身の母を持つ一人の日本人の物語がベースになっています。彼は中学生の頃、自分が男性であることから、周囲から「男らしくなければならない」というプレッシャーを受けていました。しかし、人によっては”女性的”な性格もあるため、自分の本当の性格を「理想の男性像」に当てはめることに悩んだそうです。しかし、「男らしさを追求しなくても、自分らしくいられる」と気づきました。

3.OK

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この音楽は、現在日本に住んでいるフィリピン人男性が、フィリピンの小学校に通っていた時のお話をもとにしています。彼の母親はエンターテイナーとして日本で働いていたので、母親とは離れて住んでいました。その中で、他の生徒が両親と一緒にいるのを見るのが辛かったそうです。さらに、他の生徒にいじめられたりして、学校に行きたくなる日々もありました。でも、お母さんを喜ばせるため、心配させないため、自分にも母親にも大丈夫(OK)だと言い聞かせていました。

4.Path

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この音楽は、フィリピン人の両親を持つ、日本人女性の物語を元にしています。この音楽は、彼女がフィリピンで育ち、小学校の時に母親が日本へ行き、日本人の男性と結婚するまでのストーリーを描いています。母親は彼女を日本に連れてきて、日本で一緒に暮らし始め、連れてこられた家に見知らぬ日本人の男性が父親としていました。日本での生活には慣れましたが、母親は彼女を過保護に育てていたため、思うような自由は生活はありませんでした。母の言うことに従っていたとはいえ、大学の進学先については、母の意見に従わず、自分の行きたいところを自分で決めていました。そして、ようやく自分のやりたいことを見つけ、行きたい大学の試験に合格することができました。しかし、母親が他の男人と関係を持ち、両親は離婚しました。母親は家を出て行ったので、日本人の父親だけが彼女を経済的に支えたいましたが、彼女には妹弟がいて、すべての子供を養う余裕はなかったのです。そこで彼女は、受験には合格したが、弟妹のために、大学には行かないことにしました。その決断をしたのは彼女ですが、同時に自分の声を親に聞いてほしいという思いもありました。

5.Lone Wolf

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この物語は、フィリピン出身の母親を持つ日本人女性が、中学校を転校したときの話になります。両親の都合で、3年生の時に中学校を転校することにな絵いました。しかし、転校先の中学校では、すでに仲の良いグループができていて、友達ができず、歓迎されなかったそうです。一人でいることが多く、「自分は一匹狼のようなものだ」と、インタビューでは答えてくれました。